「山東島津放射技術講座」を終えて

京都医療科学大学 赤澤博之

 平成29年5月20日からの9日間、中国 山東省 済南市にある山東医学高等専科学校へ、出張講義に行ってまいりました。本講座は株式会社 島津製作所が行う国際貢献の一環で、医療機器を販売するだけでなく、これらを扱う医療技術者を責任もって養成するという学校法人 島津学園の理念とともに、本学と協定を結ぶ山東医学高等専科学校で同講座を開くというものです。私自身は3度目となりますが、一期目が平成16年、二期目が平成19年ですので10年ぶりの訪問となります。
講義は月曜から木曜までの4日間、午前3時間・午後2.5時間ですので、90分授業で数えると およそ15コマ、週1コマの時間割で半期(半年)分に相当します。実際には通訳が入るので10〜12コマ相当ですが、それでも しっかりした内容が盛り込めます。科目は診療画像機器学(X線発生装置)、本学では2年前期に開講されますが、今回 担当したのは1年生230名でした。入学して半年過ぎたくらいですので まだまだ初々しさが残っていますし、見た目の印象は本学の1年生と なんら変わりません。学生さんは総じて真面目で、話をよく聞きます。大きく違うと感じたのは、こちらの質問に対する返答です。「知っています」、「分かりません」、「まだ習っていません」など、とにかく返事が早いのです。同じ質問を日本の2年生にすると、大抵しばらく黙り込んで…… 何度か促して やっと声が出る感じなので、自身の考えを表現する能力は数段、優れているように思いました。ただ、日本の学生さんがダメという意味では無く、いわゆる精神年齢で数才の違いがあるような感じです。中国は18才で成人ですし、みなさん全寮制で共同生活しているなど、自ずと大人として振る舞う環境なのかも知れません。日本の学生さんも3〜4年生になると ぐっと大人になりますので、国を問わず「成人の壁」は大きいようです。
宿泊は10年前と同じ貴友大酒店です。外装・内装は ほとんど同じですが、部屋の壁には大きな液晶テレビ、Wi−Fiも完備されており不自由はありません。済南市内を環状に結ぶ高架道路(首都高みたいな)も新設されていましたが、朝夕の通勤ラッシュの渋滞とクラクション! は凄まじいものがありました。ホテルから学校までの最短ルートも整備されており、徒歩20分くらいなので帰りは景色を眺めながら ぶらぶら散歩していました。
朝食、昼食はホテルのレストランが多かったのですが、夜は学校の先生方や事務職員の方々との懇親会や、以前 本学に留学されて日本語も堪能な李萌 先生(同校 医学影像系 主任教授)の旧友との食事会にも同席させていただき、美味しいお酒と豪華な、はじめて見るような料理も楽しめました。ホテルの近くのスーパーやコンビニ、市場のなかの食堂では地元のみなさんが口にされている普段の食事も体験できました。
結びとなりますが、現地で大変お世話になりました李先生はじめ山東医学高等専科学校の皆様、島津北京事務所の孫さんはじめご関係の皆様、このような機会を与えてくださった株式会社 島津製作所さまに感謝いたしますとともに、本講座で学ばれたことが これからの仕事(ちょっと先ですが)のなかで、なにかしら役に立つことを祈っております。

学内の様子。広い敷地のなかに総勢8、000人の学生さんが生活し、勉学に勤しんでいる。写っているのは ごくごく一部。同じ敷地内に宿舎があるため、最小限の荷物で移動できる。大きな荷物を抱えて通学する日本の学生さんが すこし可哀想な…

講義の様子。1年生 総勢230名なので本学のおよそ3倍。なぜか前方に小柄な学生さんが多く、幼い印象を受けたが、後方にはモデル並みに高身長な学生さんも。階段教室で前方のスクリーンも見やすく、冷暖房も完備。この教室は前回(10年前)からあったが、きれいに使われている。

済南市内は どこも高層マンションの建設ラッシュでした。この反対側には古い町並みも残っていましたが、そのうち工事が始まるとのこと。済南市は山東省の省都で、青島市につぐ人口第二(約700万人)の大都市。山東省の政治・経済・文化の中心として賑わっている。滞在中は いつも快晴で気温は35℃くらい。例年にない暑さらしい。

七里山便民市場。いわゆる庶民の台所といった雰囲気が漂っている。でき立てアツアツの総菜から生きた鳩やアヒル、黄色いイナズマ模様の魚(ナマズの一種?)まで品揃えも豊富。宿泊先の貴友ホテルから1 kmくらいの距離で、大通りからは長い石の階段を降りた先に広がった異空間。今回の出張で、いちばん中国を感じました。